棟板金から雨漏りが起こる原因とは?対処法とメンテナンス方法について解説
2023/10/24
雨漏りが起こる原因には色々なものがあります。
どこかの部品が破損している、壊れていることが理由となることが多いのですが、その一つに「棟板金」が原因となるものがあります。
そこでここでは棟板金から雨漏りが起きる原因とその対処法、メンテナンス方法などについて紹介していきたいと思います。
棟板金とはそもそもどういったものなのか
棟板金の雨漏りの原因を突き止めていくためにはまず棟板金がどういったものなのかを知る必要があります。
「屋根」というと大きな屋根材の部分のイメージがあるかもしれませんが、実際に屋根は屋根材、板金、野地板、貫板、ルーフィングなどさまざまな部材が組み合わさってできています。
一般的な形状の屋根では屋根材が頂上部分で接合されています。この接合されているもっとも高い位置の部分を「棟」といい、その棟の頂点の部分に設置されるのが「棟板金」です。棟板金は金属屋根などを「貫板」と呼ばれる板で押さえて、その上から被せて固定するようになっているものです。
こうして棟板金を被せてしっかりと固定することで屋根材の接合部分から雨水が屋内に侵入していくのを防ぐことが可能となります。
棟板金は屋内に雨水が入っていくのを防ぐ役割を果たしているのです。
このようにしっかりと棟板金が固定されている状態であれば問題ないということになります。
ただ、棟板金は内部の貫板に固定する際には横部分から鉄の釘で固定することが多くありました。この釘が「錆びてしまう」「抜けてしまう」「緩んでしまう」ということによって固定力が弱まっていくこととなり、それが雨漏りの原因や棟板金の劣化につながっていきます。
そのため最近では「ステンレス製のビス」で固定するように変わってきています。
しかし昔からある建物では鉄の釘が使われている棟板金も多くあります。
棟板金はなぜ劣化してしまう、釘は抜けてしまうのか
もともと棟板金は屋根のもっとも高い位置である頂上部分に設置されているということもあって、「雨」「太陽光」「風」などのダメージを受けやすい部位でもあります。
受けるダメージが大きいために劣化することも多いのです。
そこでここでは棟板金がどういった理由で劣化していくのかについて紹介していきます。
固定している釘が錆びる、抜ける、緩まる
近年ではステンレス製のビスで固定することが多くなってきた棟板金ですが、少し前までは鉄の釘を使って固定していました。
棟板金を固定している鉄の釘はだいたい8~10年ほどで抜けてくるということが多くなっており、その前に錆びてしまうということも多くあります。
鉄製の釘は長期間雨風にさらされて乾くということを繰り返しているうちに錆びていくことが多いのです。釘が錆びてしまうと耐久性や固定力が大きく低下するために抜けてしまう、折れてしまうということがあるのです。
もう一つ釘が緩まっていく原因の大きな一つに「熱膨張」があります。「熱膨張」とは金属が高温の状態になると膨張するという現象のことを指しています。
棟板金本体は金属製のものが多くなっているため、日中、太陽光を強く浴びることで高温となり熱を持ってしまうことによって膨張します。一度膨張した棟板金は、夜になって周囲の気温が下がると収縮していくこととなります。
棟板金が高温になり、熱を持って膨張する時には棟板金に固定されている鉄の釘も一緒に引っ張られていくこととなるのですが、棟板金が冷えて収縮する際には棟板金だけが収縮して浮いた釘は引っ張られた位置にそのまま残ることとなります。
このように棟板金が熱膨張によって膨張と収縮を長期間にわたって繰り返していくことによって釘が緩まっていくこととなるのです。限界まで緩くなると釘は抜けてしまいます。
こういった熱膨張は「日当たりが良い」「屋根が高温になりやすい」といった建物では特に起こりやすく、釘も抜けやすくなるので頻繁に確認することが重要です。
棟板金本体ももちろん劣化していく
棟板金は固定している鉄の釘や周囲のコーキング材が先に劣化していくことが多く、それらのメンテナンスが優先されることが多いのですが、もちろん棟板金自体も雨風や紫外線に常にさらされていますので、劣化はしていきます。
棟板金が錆びている、破損しているということになると本来の役割を果たすことができなくなっていきますので、破損がわずかな場合は塗装を、大きな場合は交換をしていくこととなります。
釘が錆びたり、抜けたりすると危険なだけでなく雨漏りも起きる
棟板金を貫板に固定している鉄の釘が錆びたり抜けたりすることによってさまざまなトラブルが起きます。
まず「雨漏り」が考えられます。
釘が緩んでいくと隙間ができてしまうために、そこから棟板金の内部に雨水が侵入していくこととなります。こうして雨水が内部に侵入していくとそれが雨漏りの原因となっていくのです。
また、棟板金の内部の貫板が水にさらされると腐食していくこともあります。貫板が腐食してしまうと棟板金を新しく換えても釘やビスで固定することができなくなってしまいます。棟板金がしっかりと固定されてないと雨漏りがしやすくなるだけでなく、棟板金が飛散したり落下したりするということにつながります。棟板金が飛散してしまったり、落下してしまうと棟板金は重い部品であり、しかも先がとがっている金属部位ですので、人や物に当たると危険なこととなります。
さらに棟板金が外れてしまっている状態だと、雨風を防ぐものがなくなっていますので、雨が降った際には貫板に直接雨が当たることとなります。
こうなると、すぐに貫板が腐食したり、建物内部に雨漏りがしたりすることにつながります。棟板金が外れている、落下しているとわかった場合にはできるだけ早く復旧工事を行う必要があります。
棟板金の補修、メンテナンス方法
棟板金の補修やメンテナンスを行う場合には一度棟板金を外して棟板金本体をチェックすると同時に内部にある貫板も確認します。
貫板は棟板金の内部に設置されているために、棟板金を一度外さなければ確認することはできません。
そのため貫板だけが劣化していても気づきにくく、知らないうちに腐食している、破損しているということがあるのです。
棟板金の補修を行う際には貫板も確認するようにしましょう。
貫板と棟板金をメンテナンスする方法
貫板や棟板金をメンテナンスするにはいくつかの方法があります。
これらはそれぞれがどの程度劣化しているかにもよりますが、その程度に適した方法でメンテナンスを行っていくこととなります。
棟板金を固定している釘を打ち直す場合
棟板金を貫板に釘を打つころで固定している場合は、経年劣化によって釘が緩くなっていったり、錆びたりして固定力が弱くなるということがありますので、新しく釘を打ち直すということを行います。
棟板金は8~10年ほどで釘が緩くなってくると言われており、特に風が強い、雨が多い、日差しが強いという地域ではより早い5~7年ほどでそれらが発生してくるとされています。
基本的にはこれらの年月を参考に、貫板が腐食していないか、釘を打った時の固定力が維持できているか、釘が錆びたり抜けかけたりしていないかということを確認しなければなりません。
このように新しく釘を打ち直すという作業は、屋根の頂上で行うために非常に危険です。
自分では行わずに屋根の補修専門の業者に依頼するのが安全です。
棟板金を貫板に打って固定する際には釘を真上方向から打ち込む「脳天打ち」は釘穴に隙間ができてしまい、その隙間から雨水が侵入しやすくなってしまいます。
そのため棟板金を鉄の釘で打って固定する場合には側面から打ち込むのが基本となります。
ただ、最近では鉄の釘を使うのではなく、錆びないステンレス製のビスを使って棟板金を固定することが増加しています。
棟板金の塗装を行う
棟板金本体は鉄の釘、コーキング材などと比べると劣化しにくいのですが、それでもやはり経年劣化はしてきます。
棟板金本体が欠けている、ひび割れしている、大きく破損しているという時には新しいものに交換する必要がありますが、軽く色あせしている程度であれば塗装しなおすことで機能を回復させることができる可能性があります。
ただ、棟板金の塗装を行う場合には、それだけを単体で塗装するということはなく、屋根全体で塗装を行うことが多くなっています。
屋根材の塗装を全体的に行うという時に棟板金も塗装するということがほとんどだと言えます。
棟板金の周囲にコーキング材を充填する
棟板金本体や貫板が劣化していなかったとしても棟板金の周囲に打ち込んでいるコーキング材が劣化して剥がれている、ボロボロになっているということがあります。
コーキング材の耐用年数は5~7年前後と棟板金本体や釘よりも短くなっていることが多くなっており、この期間に定期的にメンテナンスをしていないとコーキング材が劣化しているということがあります。
コーキング材が劣化していると、その剥がれたりボロボロになった部分から雨水が侵入し、棟板金の中の貫板が雨水に濡れて劣化、腐食していくということがあるため、コーキング材は定期的にメンテナンスすることが必要です。
貫板や棟板金を交換する
貫板や棟板金は腐食している、破損しているという時には新しいものに交換する必要があります。
最近では貫板を木製のものから腐食しにくい樹脂製の貫板に交換するということが増えています。
棟板金についても大きく破損している場合には新しいものに交換するのですが、棟板金を交換する際には内部の貫板や野地板、防水シートもまとめてチェックするのが一般的です。
まとめ
棟板金は屋根の中でも屋根材の接合部分をしっかりと守るという重要な役割を果たしています。
棟板金や内部の貫板が腐食、破損してしまうと雨漏りの原因になる場合がありますので、重点的にメンテナンスをしていく必要があると言えます。
山田工芸では、経験豊富な職人が多数在籍しているため雨漏り修理、屋根・外壁工事など、工事の大小を問わず何でも承ります。
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