屋根や外壁に使用するコーキングとは?コーキングの役割について解説
2023/12/28
屋根や外壁というと「屋根材」「外壁材」がメインとなっているのは間違いありませんが、それだけで成り立っているわけではありません。
特にさまざまな部材を組み合わせていく際にはどうしても隙間ができてしまうため、その部分を埋める「コーキング」が重要となってきます。
そこでここでは屋根や外壁で使用されるコーキングの役割について紹介していきたいと思います。
コーキングとはどういったものか
「コーキング」は「シーリング」と呼ばれることもあります。
この呼び方については、
・コーキングは英語の「caulking」からきており、隙間を塞ぐ、詰める、くっつけるという意味の言葉です。
・シーリングは英語の「sealing」からきており、塞ぐ、密閉する、封印するという意味がある言葉です。
厳密に言えば違う部分もありますが、ほとんどの業者では呼び方は違っても同じものを指すようになっています。
基本的には、
・部材同士の結合時にできる隙間を埋める
・外壁のひび割れ部分を埋める
・窓枠などの嵌め込み部分の隙間を埋める
というような使い方をするもので、「隙間を埋める」というのが主な使い方となっています。
コーキングが果たしている役割とは
コーキングには多くの役割があるため、さまざまな場所で利用されています。
ここではコーキングがどういった役割を果たしているのかということについて紹介していきます。
建材、部材同士の隙間を埋める
数多くあるコーキングの役割の1つに「建材同士の隙間を埋める」というものがあります。
種類が違う部材、建材を接合する際にはその間に隙間や溝ができてしまいます。
こうした隙間は放置しておくと雨水やホコリなどがそこから侵入しやすくなる原因となります。ゴミやホコリ、雨水が侵入していくことは建材の寿命を縮めることとなります。
特に雨水が隙間から内部に侵入すると内部の腐食やシロアリの発生などにつながりやすいため注意しなければなりません。
こうした不要な隙間を塞ぐためにコーキングが利用されているのです。
軽度のひび割れを塞ぐ、防止する
硬い素材でできている外壁などの建材は太陽光、紫外線による温度の上昇や低下などの理由によってほんのわずかずつ膨張や収縮を繰り返しています。
こういった変化は目で見てわからないほどの変化ですが、こういった膨張と収縮を繰り返すことによってひび割れが起きたり隙間ができたりします。
こうした膨張や収縮を防ぐために屋根や外壁の結合部分にコーキングを打ち込んでいくことによって、そのコーキングが緩衝材となって膨張や収縮を緩和することができるのです。
これはひび割れの予防とも言えるでしょう。
また、軽度のひび割れが入ってしまった場合などでも、そこにコーキングを打ち込むことによって補修することも可能となっています。
外壁、サイディングボード、ALCパネルを保護する
最近では建築現場ですべてを行うのではなく、別の場所で外壁材やサイディングボードなどを作成、用意しておき、それを建築現場に移動させて組み立てることで、工期の短縮をするという工法が増加しています。
こういったサイディングボードなども硬い素材ですので、わずかずつ膨張や収縮を繰り返すこととなります。
これらの場合にもボードの周囲にコーキングを打つことによって緩衝材としての役割が期待できることとなります。
コーキングはどういった場所に打ち込むのか
では具体的にどういった場所にコーキングを打ち込んでいくのでしょうか。
コーキングは屋根や外壁など幅広い場所で使用されているため、それらを把握していくことも重要です。
屋根の板金まわり、スレート材の結合部分など
屋根の部分にも多くのコーキングが使用されるのですが、特に板金まわりには多く使われています。
屋根には棟板金など多くの板金が使用されるのですが、その周囲には隙間ができやすいために雨漏りの原因にもなりやすくなっています。
こういった隙間のうち不要な隙間についてはコーキングで埋めてしまう必要があります。
必要な隙間まで埋めてしまうと排水できなくなったり、湿気が中に溜まってしまうことになるため、不要な部分だけを埋めます。
また、スレート屋根などの屋根材同士を結合させる部分でも隙間ができやすくなっています。
こうした部分も同様に不要な隙間についてはコーキングで埋めてしまうということになります。
外壁、サイディングボードなどの建材同士の隙間、目地
サイディングボードのようなパネル式の建材を組み合わせて利用する際には必ず「目地」と呼ばれる隙間ができてしまいます。
この目地は隙間ですので、そのまま放置しておくとその部分から水が侵入しやすくなってしまいますので、その部分はコーキングによって埋める必要があるといえます。
また、外壁部分ではモルタル外壁などの場合、ひび割れが起きることがあります。
大きなひび割れが入っている場合は大規模な補修工事を行う必要がありますが、軽微なひび割れの場合はコーキングで埋めてしまうという場合があります。
こうした場所にもコーキングは使われています。
窓枠、サッシなどを嵌め込んだ際にできる隙間
多くの家で利用される窓枠やガラスサッシは外壁に穴が開いている状態で、そこに枠をはめ込んで設置しているという状態になっています。
そのためそのまま枠をはめ込んで設置した場合、窓枠の周囲、サッシの周囲には必ず隙間ができてしまうことになります。
これもそのままにしておくと、その隙間から外壁内部や建物内部に雨水などが浸入することとなるため、この隙間についてはコーキングで埋めてしまいます。
建物内部の浴槽周り、パイプ周り、配管周りなど
屋根や外壁部分で多く使われるコーキングですが、内装部分でもコーキングをするべき場所は多くあります。
まずパイプや配管といった水が関係している部材は家の中のあちこちに巡らされています。
こういった部位は「水」と関係が深いために隙間があったりするとそこから水漏れがしやすくなる場所でもあります。
こうした場所の隙間はコーキングでしっかりと埋めることとなります。
また、浴槽まわりは多くの水を使うことになるため、浴室まわりと併せてしっかりと隙間を埋めておくべき場所でもあります。
コーキングを利用することで雨漏りを防ぐ
コーキングを利用することによって雨漏りを防ぐということが可能になる場合があります。
どんな場所でも雨漏りを解決させることができるというわけではありませんが、利用できる場所であれば比較的簡単に雨漏りを防ぐことができるので活用しましょう。
このコーキングはホームセンターなどで販売していますので、数百円~数千円程度で購入することができます。
サッシ、庇、換気扇付近からの雨漏りの場合
以前はサッシなどは木製の素材のものが多かったのですが、最近ではアルミ製や樹脂製のものが多くなってきています。
これらの素材は劣化しにくいため、メンテナンス回数が減ることにつながっています。
ただ、樹脂製のサッシなどは劣化しにくいのですが、その周囲のコーキングは劣化するためそこから雨漏りが起こる場合があります。
サッシだけでなく庇や換気扇も同様で、そうした部分が劣化しにくくなったのですが、その周囲のコーキングは劣化していくためにそこから雨漏りが起こる場合があるのです。
こういった場所の雨漏りについてはコーキングを打ちなおすことによって雨漏りの補修ができる場合があります。
サイディングボード、ALCパネル外壁の目地などからの雨漏りの場合
最近建物の外壁に多く使用されるようになってきているのが、サイディングボードやALCパネル外壁です。
これらの部材は建築現場で最初からすべてを作成していくのではなく、別の場所であらかじめボード状に加工された外壁を現場に移動させてきて組み立てて設置するというものです。
ただ、こうした外壁は組み立てていく際に隙間なく組み立てるのは難しく、逆にぴったりに組み立ててしまうと地震などの際にズレてしまったり、衝撃を逃がすことができずにひび割れが起こることとなってしまいます。
そのため、わざと隙間なくぴったりとくっつけて設置をしてしまうのではなく、わざと少し隙間を開けて設置し、その隙間となる目地部分にコーキングを打ち込んで緩衝材としているのです。
こうしてコーキングを打ち込んでいくのですが、このコーキングも経年劣化していきますので、その劣化した部分から雨水が侵入するということがあるのです。
外壁部分が原因で雨漏りがするという場合はこれが原因とも言えるでしょう。
こうした場合もこの目地部分にコーキングを打ちなおすことで雨漏りを解決できる場合があります。
モルタル外壁のひび割れからが原因の雨漏りの場合
こちらも外壁で多く使われている素材で「モルタル」と呼ばれるものです。
モルタルはセメントに砂と水を混ぜ合わせてできています。
部材同士を組み合わせるわけではないので、途中で継ぎ目ができずに作る際にその形も自由に変えることができるために多く使われています。
ただ、このモルタルは、
・乾燥による素材の収縮
・材料の塗りこみ不足
・太陽光や紫外線、雨水による経年劣化
・地震などの物理的な衝撃
などの理由によって「ひび割れ」が発生する場合があります。
ひび割れが起きる際には細くて短いひび割れが入っていき、放置していると
まずは細いひびが入っていき、徐々に大きなひび割れへ被害が大きくなっていきます。
かなり大きなひび割れまで進んでしまうと大規模な塗り替え工事が必要となってくるのですが、細いひび割れ程度の場合はコーキングすることで補修できる場合もあります。
まとめ
コーキングは建物のあちこちの場所で使用されている重要なものです。
屋根、外壁などで隙間を埋めるために利用されており、雨漏りを防ぐのにおおいに役立っています。
ただ、コーキングは劣化していく部分ですので定期的にメンテナンスを行う必要があります。