パミール屋根について
2022/10/28
パミール屋根という言葉を見聞きされたことはあるでしょうか。パミール屋根は多くの不具合が発生し、メディアでも取り上げられ社会問題となった屋根材です。
パミール屋根の問題が明るみに出た後、屋根修理業者にはこのタイプの屋根についての問い合わせが殺到し、現在でも非常に多くの問い合わせが寄せられています。
この記事では、パミール屋根とはどのような屋根なのか、その特徴や見分けるポイント、そして適切なメンテナンス方法についてご紹介します。また、パミール屋根が使われている住宅の施工例についてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
パミール屋根とは?
パミール屋根とは、屋根材大手メーカーであるニチハが1996年から2008年にかけて製造した「パミール」という屋根材を使ったストレート屋根のことを指します。
パミールには耐久性に大きな問題があり、約7年で剥離がはじまり10年を経過したころには割れや欠け、剥離などの症状が現れボロボロになってしまうことが認められています。
現在は製造中止になっていますが、約16~28年前には一般的な建材として使われており、現在でもパミール屋根の住宅は少なくありません。
パミールが広く使われた背景には、当時、有害な建材として認定されたアスベストの代替となる製品の開発が求められていたことが挙げられます。早急な開発が求められたため、長期使用についての検証が不十分のまま採用されたことが問題の発端だったとされています。
この問題については裁判やクレームが相次ぎ、メディアでも頻繁に報道されるような社会問題となりました。
耐久性が乏しい屋根材をそのまま使用するのは非常に危険です。特に、1996年から2008年頃に建てられた住宅にお住いの方は、屋根材にパミールが使われていないか、早急に確認する必要があるでしょう。
パミール屋根の特徴・見分けるポイント
自宅の屋根がパミール屋根かどうか分からない方は多いでしょう。
ここでは、パミール屋根の特徴と見分けるポイントをご紹介します。
屋根先の凸凹が等間隔になっている
パミール屋根の特徴の一つとして挙げられるのが、屋根先が凸凹している点です。
これは、ストレート屋根であれば全てに共通している特徴ですが、パミールについては出っ張っている屋根先の横幅と、へこんでいる屋根先の横幅が均等になっています。
屋根先の横幅が均等になっている点についてはパミールだけに見られる特徴ですので、屋根先を確認する際は屋根先の凹凸と横幅の間隔を確認してみましょう。
ただし、経年劣化によって屋根先がボロボロになっているケースも少なくないため、判断が難しい場合もあります。
さらに、屋根は高所にあり、パミールの不具合により屋根材が腐食している場合は、屋根の上に乗ることで屋根全体が落下する危険性も考えられます。
地上から目視での自己判断が難しい場合は、屋根の専門業者に確認してもらうことをおすすめします。
屋根材に「パミール」と表記されている
パミールのもう一つの特徴として、自分で確認するのは難しいですが、パミールは屋根材をずらすと「パミール」と書かれている点が挙げられます。
屋根材に「パミール」と記載のあるものはパミール屋根で間違いないため、早急なメンテナンスが必要ですので、屋根修理業者に相談されることをおすすめします。
パミール特有の不具合が起こっている
屋根の状態を確認できなくても、層間剝離や基材露出、屋根全体に被害が拡大しているなど、パミール特有の不具合が起こっている場合には、早急なメンテナンスが必要です。
そのまま放置しておくと被害が拡大する可能性が高く非常に危険ですので、早急に屋根修理業者に相談しましょう。
【層間剝離】
層間剥離は初期に見られる症状で、パミールを構成しているセメントの層が徐々に離れていくことで、屋根材がめくれ上がります。
【釘の腐食】
釘がサビてなくなってしまうことがあります。
釘が腐食することで、屋根材を固定するものがなくなるため、その結果、屋根材が剥がれ落ち、近隣への物損事故や人身事故を引き起こすリスクがあります。
【基材露出】
層間剝離が進行すると、セメント基材の露出が見られはじめます。
セメント基材の露出が目立つようになってくると、庭やベランダにパミールの破片が落下しはじめます。ここまでくると、危険信号と考えて良いでしょう。早急な対策が必要です。
【屋根全体に被害が拡大】
基材露出が進行し屋根全体に被害が拡大している場合は、非常に危険なため、早急なリフォーム工事が必要です。
パミール屋根のメンテナンス方法
ここからは、パミール屋根に行われるメンテナンス方法についてご紹介していきます。
パミール屋根は、次のような方法でメンテナンスを行うのが一般的です。
葺き替え工事
パミールの剥がれや割れが原因で雨水などが建物内部へと侵入しており、雨漏りを起こしている場合や屋根の下地まで湿気を帯びて傷んでいる場合には、葺き替え工事を行うのが一般的です。
屋根の葺き替え工事は、現在の屋根を撤去したうえで新たに屋根を付き替える工事のことを指します。
屋根を葺き替えることで、屋根材だけでなく屋根の内部にある下地板も補修および交換できるため、パミールによって起こった損傷を完全に修復することが可能になります。
カバー工法
屋根からの雨漏りや屋根の下地の傷みなどが見られない場合には、カバー工法が採用される場合もあります。
カバー工法は、元々ある屋根の上から新たに屋根材を重ねる工事を指します。
葺き替えに比べると費用を抑えることができるうえ、耐久性を高めることができます。
ただし、先述の通り、屋根の状態によってはカバー工法では対応できない場合もありますので、ご注意ください。
パミール屋根は塗装できない
屋根のメンテナンス方法には、葺き替えやカバー工法の他にも塗装するという選択肢もあります。
しかし、パミール屋根については、塗装によるメンテナンスは不可能です。
一般的に屋根塗装には、定期的に行うことで新しい塗膜で屋根材の撥水性の維持する効果を得られます。
しかし、パミールの場合は初期症状の段階ですでに屋根材の層間剝離が見られるため、仮に塗装を行ったとしても不具合を解消することはできません。
さらに、塗装前の高圧洗浄で屋根材をバラバラにしてしまう危険性の方が高くなります。
通常の屋根であれば、塗装によるメンテナンス効果は有効ですが、パミールについては、塗装によるメンテナンスは全く意味をなさないだけでなく、場合によってはさらなる被害を招く恐れさえあるのです。
パミール屋根の施工事例
最後に、パミール屋根のメンテナンスとして、他の屋根材に交換した施工事例を3つ、ご紹介します。
事例①:横浜市緑区にてパミール屋根からエコグラーニ屋根にカバー工法
お客さまより、屋根のひび割れが気になるため、リフォームをしたいというご依頼がありました。
パミール屋根特有の症状は見られるものの、雨漏りの発生までには至ってなかったため、カバー工法を採用。耐久性が向上し長持ちする屋根材とのご希望があったため、30年保証のある「エコグラーニ屋根」を使用しました。
パミール屋根からエコグラーニ屋根にカバー工法を行うことで、屋根の質が向上。さらに、長期間メンテナンスが不要になるため、経済的です。また、段差が生じる材質を選択されたことで通気性も向上しています。
詳しい施工内容につきましては、こちらの記事をご覧ください。
事例②:横浜市都筑区にてパミール屋根からディプロマットスター屋根にカバー工法
台風によって既存のパミール屋根が5~6枚落下してしまったため、メンテナンスのご依頼がありました。
屋根の状態は、パミール特有のひびや損傷は見受けられますが雨漏りは起こっておらず、カバー工法を採用。「耐久性が強く、長期保証のある屋根材」をご希望されたため、30円保証のディプロマットスター屋根を使用することになりました。
数年前には外壁塗装も実施されており、屋根外壁ともに、雨漏りの恐れは限りなく低い状態になりました。
また、今回の工事にて換気棟の取り付けを実施したため、家の通気性も向上しています。
詳しい施工内容につきましては、こちらの記事をご覧ください。
事例③:横浜市西区にてパミール屋根からディプロマットスター屋根にカバー工法
飛び込みの訪問販売業者から屋根材の膨らみを指摘され、不安になったとご相談をいただきました。
調査を行ったところ、パミール屋根特有の層間剝離が見られました。お客様にとって弊社の方がメリットが大きかったため、今回ご依頼いただく運びとなりました。屋根の状態を確認し、30年保証のあるディプロマットスター屋根でのカバー工法にて施工しました。
ディプロマットスターは、コストパフォーマンスが非常に高く、耐久性や耐候性に優れています。
今回のメンテナンスによりパミールによる被害を食い止め、建物の耐久性や耐候性を向上したため、安心していただけました。
詳しい施工内容につきましては、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
パミールは、他の屋根材と比べて非常に耐久性が低く雨漏りや屋根材落下などの危険性も高い屋根材です。
ご自宅の屋根がパミールで不具合が見られる場合には、早急にメンテナンスを行う必要があるでしょう。
山田工芸は1998年創業以来、神奈川県横浜市・相模原市を中心に、雨漏り修理・屋根リフォーム・屋根葺き替え工事・カバー工法・雨樋工事・屋根板金工事など、屋根に関する工事一式を行っています。
実績があり、熟練の屋根職人が丁寧に責任を持って工事をしていますので、パミール屋根のメンテナンスを検討されている方は、ぜひ一度、相談してみてください。