屋根に塗装は必要?塗装が必要な屋根材について理由を解説
2023/11/21
屋根材は一度設置するとそのまま永久に使えるというわけではありません。
素材によっては定期的に塗装によるメンテナンスが必要なものもあります。
ただ注意しなければならないのは、屋根の素材によっては塗装によるメンテナンスが適さないものもあるということです。
そこでここでは屋根塗装が必要な屋根材や、塗装が必要ない屋根材についてご紹介します。
塗装メンテナンスが必要な素材について
塗装がなされている素材については定期的、もしくは劣化が見られた時には塗装をし直す必要があります。
ここではそれらの塗装が必要な素材について紹介していきます。
化粧スレート
化粧スレートとは、厚さ約5mmの薄い板状の屋根材です。
セメントを主な素材としており、瓦と比べて軽量で安価で大量生産が可能であったため、1990年代に広く普及しました。
商品名である「カラーベスト」「コロニアル」などと呼ばれることもあります。
スレート屋根は、主な材質がセメントであり、出荷時には表面に塗装がされています。
この表面の塗装が劣化してしまうと、基材であるセメントが水分を吸収してしまうため、防水性を保つために定期的に塗装が必要です。
塗装の色褪せや、塗装の剥がれなどの劣化症状が見られた場合は塗装の機能が低下しているサインですので、塗り替えを検討してください。
塗り替えの目安は使用塗料にもよりますが、8~10年ごとが目安です。
20年以上塗り替えを行わず放置していると、ほぼ塗装がなくなり、ひび割れや欠けなどの劣化が進行しているケースが多く見られます。
屋根の劣化がひどい場合には塗装ではなくカバー工法が必要となります。
またスレート屋根は一枚一枚が薄いため、ひび割れなどが起こりやすいという特徴もあります。
屋根材に割れや欠けが発生している場合は、軽度のひび割れであればシーリングによる補修、大きなかけや欠損の場合は交換が必要となります。
スレート屋根の耐用年数は約20~30年です。耐用年数が近づいている場合は、塗装を行ってもすぐに耐用年数を迎えて、カバー工法や葺き替えなどの屋根リフォームが必要になるため、塗装よりもはじめから屋根リフォームを検討した方が適切といえるでしょう。
金属製の屋根材
以前までは、金属屋根においてはトタン屋根がよく使用されていましたが、最近ではトタンよりさびにくいガルバリウム鋼板やSGL鋼板、あるいは石付き鋼板屋根の使用が一般的になってきました。
金属屋根はスレートよりもさらに軽量で、金属屋根の弱点である断熱や遮音の弱さを補う断熱材付きなど機能の高い製品が発売されたことで人気が高まっています。
トタン屋根は、塗装のサイクルも短く錆びやすいため、こまめな塗装が欠かせません。
塗装を行うことで鉄が水や酸素に触れないようにし、錆の発生から保護しています。
塗装が劣化すると錆が起きやすくなります。錆が進むと腐食によって穴あきが発生して雨漏りの原因にもなります。
ガルバリウム鋼板やSGL鋼板は、遮熱機能付きの焼き付け塗装がされている製品が多く、長持ちしますが塗装によるメンテナンスが不要なわけではありません。
山田工芸のおすすめ屋根である石付き鋼板屋根である、「ディプロマットスター」や「エコグラーニ」は、鋼鈑の表面に石粒がついており、この石粒が遮音や断熱の役割を果たします。石粒があるために塗装によるメンテナンスも不要な屋根材です。
金属は熱を吸収しやすく伝えやすい性質があるため、断熱材がついてない屋根材には、遮熱や断熱の機能をもった塗料を塗装することで断熱や遮熱対策になります。
セメント瓦
粘土を焼き上げた粘土瓦は、塗装を必要としない屋根材です。
しかしセメントと川砂を混ぜて瓦の形に成型したセメント瓦は、塗装が必要な屋根材です。
スレートと同じくセメントが主な材料ですので水を吸収しやすいため、塗装で防水性を高めています。
出荷時には塗装されていますが、経年劣化で塗装が劣化してくると塗り替えによるメンテナンスが必要な屋根材です。
セメント瓦も約10年を目安に塗り替えることで防水性を適切に保つことができます。
塗料による防水がなくなるとセメントが水を吸って苔やカビが生えやすくなり、水を吸収して乾燥することを繰り返すことでひび割れや欠けなどの劣化が発生します。
モニエル瓦
モニエル瓦は、ヨーロッパ発祥のセメント瓦の一種で、「乾式コンクリート」と呼ばれることもあります。
こちらセメントを主成分としているため塗装が必要な屋根材です。
しかしモニエル瓦の塗装には注意が必要です。
モニエル瓦の表面には着色スラリーという独自の着色層があり、塗り替えの際にはこの着色スラリーを除去してから塗装を行う必要があります。
そしてモニエル瓦専用の塗料を使用する必要があります。知識のない業者が正しい施工を行わないと施工不良を起こしてすぐに塗装が剥がれてしまうこともあるため、経験豊富な業者に塗装を依頼してください。
モニエル瓦とは?雨漏り原因とメンテナンス、塗装における注意点
塗装をし直してはいけない、するべきでない素材について
屋根材は塗装をし直すことによって機能が回復したり、耐用年数を延ばしたりすることができるものが多くあります。
しかし中には塗装をしてはいけない、するべきではないという素材のものもあります。
そこでここでは「塗装できない」「塗装するべきでない」屋根材について紹介していきます。
パミール
パミールはニチハ株式会社によって1996年から2006年まで販売されており、現在は生産中止となっている屋根材です。
塗装することができない屋根材として有名な製品です。
パミールは最初は耐久性を高めるためにアスベスト含有の製品を販売していました。しかしアスベストへの規制が進むと、アスベストに代わる製品を使用した新しいパミールを販売しました。しかし代替品として使用した素材が十分な強度をもたなかったため、早ければ7年程度で、屋根材の端の方から層状に剥がれてくる「層状剥離」を起こします。
屋根材そのものの強度が足りていないために、上から塗装をしても意味がありません。
パミール屋根をリフォームする際にはカバー工法か、劣化がひどければ葺き替えが必要です。
レサス
レサスは松下電工、現在のパナソニックが提供していた製品です。
現在、松下電工の外装建材部門はクボタ株式会社と事業統合した上で「ケイミュー株式会社」に名前が変わっています。
この屋根材も「強度」に問題があり、屋根の上を点検などで歩いている際に割れてしまうことがあるほど強度が低い製品です。
全体に細かいひび割れが起こりやすく、屋根材が剥がれてしまうほどの割れが発生するケースも見られます。
塗装をし直しても屋根材の強度が回復するわけではないので、割れてしまった場合は交換するほうが効果的です。
こちらも塗装を行うと無駄になるため、屋根リフォームが必要な屋根材です。
コロニアルNEO
コロニアルNEOは、クボタ株式会社、現在のケイミュー株式会社の製品です。
人気製品である「カラーベスト」のシリーズ商品ではあるのですが、アスベストを含んでいたニューコロニアルの代わりに販売されたノンアスベストの屋根材で、アスベストを含まないため耐久性に問題がありひび割れや欠けなどが起こりやすいという欠点があります。
10年を超えたあたりから全体的にひび割れが発生してきます。
現在は製造を中止しており、新しく建物を建てる際には使われることはないのですが、破損しやすい屋根材のため、塗装ではなくやはりカバー工法などが必要です。
屋根材「コロニアルNEO」とは?特徴やメンテナンス方法を解説
シルバス
こちらは「レサス」と同様に松下電工の製品で、レサスの上位製品として販売されていました。
そのため特徴もレサスと似ており、ひび割れが起こりやすい製品となっています。
また、デザインが大きくスリットの入ったものとなっており、より割れやすくなっています。
デザイン性は高いのですが、強度はさらに低下したものとなっています。
こちらも耐久性に問題があってすぐに割れてしまうために塗装をし直す必要はありません。
アーバニーグラッサ
こちらもクボタ(現在のケイミュー)の製品です。
デザイン性が高く、魚の鱗のように入り組んだ複雑なデザインがなされています。
そういったデザインのために強度が低くなっており、ひび割れもしやすいものとなっています。
また、先端部分が割れてその部分が落ちてしまうということもあり、注意が必要です。
全体的にひび割れすることもあるため、補修もしにくく、塗装する必要もありません。
セキスイかわらU
積水ハウスなどのセキスイグループで長く使われてきた屋根材です。
カバー工法にも使えるため、広く使用されてきましたが、こちらも屋根材の強度に問題があり、ひび割れが起きやすく、ひび割れが起きた際に表面塗装が剥がれてしまうという欠点があります。
塗装不可の屋根材「セキスイかわらU」とは?メンテナンス方法もご紹介
カバー工法と葺き替えどっちがいいの?
上でご紹介したような、塗装できない屋根材のメンテナンスの方法としてはカバー工法か葺き替えかどちらかになります。こちらでは二つの工法の違いや、工事が適している場合についてご紹介します。
カバー工法
カバー工法の特徴とメリット
カバー工法は、今の屋根の上から、防水シートと屋根材を被せる(カバーする)工法です。
今の屋根材を撤去しないので、撤去費用や廃材処分費用がかからず、その分工期が短くなって、工事費用も葺き替えよりも安く抑えられます。
屋根が二重になるため屋根の重要が増すことを考慮して、軽量な金属屋根を被せるのが一般的です。
二重になることで断熱性や遮音性が向上するメリットもあります。
カバー工法が適している屋根
カバー工法が適しているのは、損傷が少なく、下地(野地板)の状態が良好なスレート屋根です。カバー工法は波打った屋根には施工できません。
屋根材の劣化が進みすぎていたり、下地が腐食を起こしているような場合には施工は適していません。
また、アスベストを含んだ屋根材の場合は、撤去するとなると処分費用が高額になるため、処分が不要なカバー工法を行うことで工費を抑えられます。
葺き替え
葺き替えの特徴とメリット
葺き替えは、今の屋根材を撤去して、新しい屋根を葺いていく工法です。
屋根を撤去するため、屋根の下にある野地板の状態を確認でき、腐食がある場合は野地板の補強や補修が行えます。
重さのあるセメント瓦や瓦屋根から軽い金属屋根に葺き替えを行うことで、屋根自体の重量が軽くなり、屋根の軽量化が行えます。
葺き替えが適している屋根
瓦屋根やセメント瓦はカバー工法が行えないため、葺き替えが必要です。
また30~40年近く経過して耐用年数を過ぎたスレート屋根や、長年雨漏りを起こして下地まで腐食している屋根には葺き替えが必要なるケースがほとんどです。
まとめ
塗装には塗装が必要な屋根があり、塗装が必要な屋根は、前回の塗装から10年前後してくるとメンテナンス時期に入ってきます。
塗装が色褪せている、剥がれてきているという劣化のサインが現れた時に塗装をし直すことで、防水性など屋根を守る機能を回復することができます。
ただし、屋根材の種類によっては「塗装する必要がない」「塗装するべきではない」というものもありますので、どういった屋根材を使用しているのかを確認した上で塗装メンテナンスを行っていきましょう。
こちらでご紹介したような耐久性そのものにそもそも問題があるような屋根材は、強風になどによって飛散して、思わぬ事故を起こす可能性もあります。
2000年前後に建てられたお家では、耐久性に問題のあるノンアスベスト屋根材が使用されている可能性が高くなります。
その場合はお早めに調査をご検討ください。
山田工芸は、横浜市内でも珍しい、屋根職人も塗装職人も自社職人であり、常にチームが連携して屋根修理や屋根塗装、外壁塗装のセットのご依頼も承っております。
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