塩害に強い屋根材のご紹介!塩害を防ぐメンテナンス方法とは
2023/09/28
建物がどういった地域にあるかによって屋根材や外壁が受けるダメージは変わってきます。
「日差しが強い」「雪が多い」「強風がよく吹く」などさまざまな被害がありますが、その中に「塩害」というものがあります。
これは海の近くで起こるもので、潮風が吹いていることが原因となって起こる被害です。
そこでここでは「塩害」に強い屋根材、塩害を防ぐためのメンテナンス方法などについて紹介していきたいと思います。
塩害とはどういったものか
海から吹いてくる風には塩分が多く含まれています。
この塩分を多く含んだ風によって引き起こされるのが「塩害」です。
具体的に起こる塩害とは
塩分を多く含んだ風は金属の腐食を加速させてしまう働きがあります。
建物には色々な場所で金属部分があります。
窓枠、外壁、屋根、エアコンの室外機、玄関の扉、屋根の棟板金など金属製の部分が多くあるのです。
塩害によってこうした金属部分は普通よりも早いスピードで劣化、腐食して錆びも発生してきます。
これが塩害と呼ばれるものです。
塩害の起こる範囲とは
イメージとしては当然海に近い場所のほうが被害は大きくなるのですが、これは実際にその通りです。
- ・海岸線から200~500m以内は「重塩害地域」
- ・海岸線から2km以内は「塩害地域」
と呼ばれるのですが、実際には海岸線から5km離れた場所でも塩害が起こることがありますし、台風の時には10km離れたところまで潮風が届くともいわれています。
日本は周囲を海に囲まれており、塩害の被害を受けやすい地域性があります。
また、材料の運搬に便利なことから海沿いに工場などが作られることが多く、海沿いに大きな町が作られていったという経緯があります。
そのため、塩害地域に多くの家が建てられているのです。
海から遠く離れた場所でも塩害は起こる
塩害は海に近い地域でより起こりやすいのは間違いありませんが、海から遠く離れた場所や山の中でも実際には起こります。
これは寒い地域、雪が多い地域では凍結防止剤として塩化ナトリウムが、融雪剤として塩化カリウムが使われるためです。
これらは金属を腐食させる作用があるため、これらが使用される場所では塩害が発生する可能性があるのです。
建物は塩害によってどういった被害がでてくるか
実際に塩害が起こりやすい場所、被害の状況などについて紹介していきます。
【建物の周りの柵など】
建物の周囲にある塀、柵などが金属製の場合は腐食して錆びが発生します。
柵などが腐食していくと見た目が大きく悪くなるということだけでなく、破損しやすくなります。
柵などが破損するとそこに触れた人はケガをすることも多く、危険性が高くなります。
塩害を受けやすい地域では柵は樹脂製や木製のもののほうが安全です。
【玄関の扉】
玄関のドアが金属製の場合、そこに雨がよく当たるかどうかによっても変わってきます。
雨がよく当たる地域では常にドアが洗い流されていくために塩害は起こりにくくなりますが、ドアの上部分のように雨が当たりにくい部分は塩害が起きやすくなります。
ドアが腐食したり錆びてくると非常に目立ちますので早めに対処する必要があります。
【雨戸やシャッターなど】
こちらも雨戸やシャッターによく雨が当たる場合はその表面では塩害が起きにくいのですが、それらが収納される戸袋、シャッターボックスなどは雨で洗い流されないために塩害が起きやすくなっています。
雨戸がアルミ製、スチール製などの場合でも腐食、錆びは発生します。
【鉄筋コンクリート】
鉄筋コンクリートの内部に水が染みていくと内部の鉄筋が錆びてきます。
鉄筋が錆びてくると内部からコンクリートが破壊されてくるため、劣化していくこととなります。
この際、塩分を含んだ水分のほうが錆が発生しやすいため、ひび割れを起こすのも早くなっていきます。
建物を塩害から守るためのメンテナンス方法とは
完全に塩害の被害を受けて腐食してしまった建材については交換するしかないのですが、日々のメンテナンスによってある程度塩害を防ぐことは可能です。
ここでは塩害から建物を守るためのメンテナンス方法を紹介していきます。
水で洗い流す、洗浄する
建物に塩分が付着したとしても水で洗い流すことによって塩害を受ける前に防ぐことができます。
毎日行う必要はありませんが、強風が吹いた後などは洗い流すことをおすすめします。
この際、雨がよく当たる部分よりも雨水が直接当たりにくい場所を重点的に流すようにしましょう。
また、水を流す際にはホースなどで軽く水をかけて流すことが重要です。
ブラシで強くこすったり、高圧洗浄のように強い水圧で水をかけると水分が内部に侵入したり、塗装が剥げてしまったりするので避けるようにしましょう。
定期的に塗装を行う
屋根材や外壁をより長持ちさせるためには定期的に塗装をすることが必要です。
一般的な塗料を使っての塗装では耐用年数が10~15年ほどとなっていますが、塩害地域ではさらに短い期間で塗装をする必要があります。
7~10年を目安に塗装を行い、防水性を維持する必要があるのです。
特に塩害が強いという地域ではより短期間で塗装が必要と言えるでしょう。
腐食した建材は早めに交換する
定期的な洗浄や塗装によって塩害を予防することができるのですが、どこかの建材が腐食してしまったという場合にはできるだけ早く交換してしまうのが良いでしょう。
錆びや腐食がどこかで発生すると、塩分を含んだ水が浸入しやすくなり、他の部分も腐食しやすい状況となります。
こうなると次々と被害が大きくなっていってしまうため、すでに腐食してしまっている部分がある場合は早めに交換をすることが重要です。
塩害地域には向いていない屋根材とは
屋根材や外壁には塩害に強いもの、弱いものがあります。
まずは海沿いの場所、塩害地域で使わないほうが良いという素材について紹介していきます。
【金属製の素材】
当然ですが、スチールやトタンといった金属製のものは塩害地域には向いていません。
塩分を多く含んだ潮風は金属の腐食を加速させて錆びを発生させます。
金属が錆びてしまうと、強度が弱くなり、穴が開いたり破損したりしてしまいます。
屋根材がこれだけ劣化してしまうと、雨漏りが起こるようになるため建物内部に水がどんどん入っていくこととなります。
塩分を多く含んだ水は家電などにかかるとこちらにも大きいダメージを与えることとなりますので注意が必要です。
塩害地域の建物にはこれらの金属製の屋根材は避けたほうが良いでしょう。
【窯業サイディングボード】
こちらは金属製ではないのですが、塩害地域には向かない素材です。
セメントを主原料とする素材なのですが、セメントも塩分には弱く、劣化しやすい素材となっているのです。
セメントが劣化してくるとバラバラと崩れてきたり、破損しやすくなります。
こちらも塩害地域では避けたほうが良い素材と言えます。
塩害地域におすすめの素材とは
では次に塩害地域に適している、おすすめの屋根材について紹介していきます。
これらはどれも塩害に強いという特性がある屋根材です。
ステンレス製
「ステンレス」は正式には「ステンレススチール」という鉄が主成分の金属です。
こう考えると金属製なので適していないような感じはありますが、実際にはステンレスは表面に錆びを防ぐ膜があり、塩害に強い素材となっています。
そもそも「ステンレス」という名前が「錆びない、錆びにくい」という意味ですので、塩害地域には適している素材だと言えるでしょう。
樹脂サイディング
こちらは主に外壁で使用される素材です。
「塩化ビニール樹脂」というプラスチックが主成分の素材となっており、錆びる、腐食するということがほとんどありません。
軽量で耐久性、耐火性にも優れているということから非常に優秀な素材なのですが、日本ではほとんど普及しておらず、利用できる業者も限られているという弱点があります。
これから普及が進んでいくと予想されている優秀な素材だと言えるでしょう。
ガルバリウム鋼板
ここ最近もっとも一般的に使用されている金属屋根です。
金属素材ではあるものの、耐食性に優れている「アルミニウム」「亜鉛」などで表面がコーティングされているため、錆びに強いという特徴があります。
また、錆びに強い塗料で塗装することも可能となっているため、より塩害に強い素材として利用することができます。
【山田工芸でおこなったガルバリウム鋼板の施工実績】
>>横浜市西区にて雨漏り修理(コロニアル屋根からガルバリウム鋼板にカバー工法)
>>横浜市保土ヶ谷区にて屋根修理(瓦棒屋根から立平葺きに葺き替え工事)
エスジーエル鋼板
「エスジーエル鋼板(SGL鋼板)」はガルバリウム鋼板をさらに進化させたものです。
メッキ部分に「マグネシウム」を加えたものでさらにメッキ部分を強化することに成功しています。
ガルバリウム鋼板もその性能の高さが評判となって広く普及したという屋根材ですが、このエスジーエル鋼板はそのガルバリウム鋼板の3倍以上の耐食性を誇っているのです。
まだまだ広く普及はしていませんが、これから一気に普及していくことが確実とされている屋根材だと言えるでしょう。
【山田工芸でおこなったSGL鋼板の施工実績】
>>横浜市戸塚区にて屋根修理(スーパーガルテクトへのカバー工法)
防水性、耐食性の高い塗料を使用する
こちらは素材ではなく、塗装部分で工夫するという方法です。
塩害も塗料によってはある程度防ぐことができるため、そういった性能を持った塗料で塗装をすることによって塩害を防止することができるのです。
フッ素塗料や無機系の塗料などを使用することによって防水性、耐食性を向上させることができるでしょう。
まとめ
海沿いに住んでいる場合は建物の塩害はなかなか防ぐことができません。
特に海岸線から2kmの塩害地域に住んでいる場合は、塩害を防止する屋根材を使ったり、定期的にメンテナンスを行うといったことによって対応していくことが重要となります。
清掃や洗浄をしたり、塗装をするといったことで屋根が正常に機能できる状態を維持していくことが塩害への対処法だと言えるでしょう。