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地震に備えて屋根を軽量化!耐震リフォームの費用相場とポイントを解説

2023/10/27

日本はもともと地震が多い国だと言われており、近年日本のあちこちで大きな地震が起きています。
そのため、建物も地震に備える必要性が求められています。

そうして建物の耐震性を高めるための対策として「耐震リフォーム」がありますが、その中の一つに「屋根の軽量化」が含まれます。

ここではなぜ屋根を軽量化することが耐震化対策につながるのか、耐震リフォームの費用相場や注意点、ポイントなどについて紹介していきたいと思います。

屋根を軽くすることがなぜ耐震化になるのか?

なぜ屋根を軽くすることが耐震化につながるのでしょうか。こちらでは屋根の重さと耐震の関係についてご紹介します。

重い屋根は基本的に耐震性が低くなる

まず屋根を含めて建物全体の重さは、建物の壁、柱、基礎部分などによって支えられています。
屋根が重くなると単純に建物を支える構造体への負担が大きくなります。

建物は、屋根の重さや床面積を考慮して、必要な構造体の強さが定められています。これを「必要耐力」といい、屋根を軽くすることでこの必要耐力が低下します。
建築基準法において、新築時には地震や風圧に耐えられるだけの耐力壁の量が定められており、この必要な壁の数が、重い屋根と軽い屋根では異なります。

下記は屋根の重さを必要な壁量を表した図です。

建築物 一階建ての建築物 2階建ての1階 2階建ての2階
瓦など重い屋根の建物 15 33 21
金属・スレートなど軽い屋根の建物 11 29 15

出典:Q3.瓦屋根は、重いので住宅全体の耐震性に影響するのでは?|国土交通省 国土技術政策総合研究所 (NILIM)

建築基準法では瓦は重い屋根に分類され、金属・スレートは軽い屋根に分類されます。
図を見ていただくと、屋根が軽いほど必要な壁量は少なくなっており、重い屋根の場合は壁を増やして地震や風圧に耐えられるような設計が必要になります。

そして実際に地震が発生すると、重い屋根は重心が高くなり、「支点」「力点」「作用点」などの関係で屋根が重いと遠心力が働いて横の揺れ幅が大きくなります。
揺れ幅が大きくなると、屋根を支えている柱や壁にも大きな負担がかかります。
柱や壁にもし劣化や腐食が発生していると、倒壊する危険も増大します。

以上の点から重い屋根は耐震性が低くく、屋根を軽くすることで柱や壁などにかかる負担を減らすことができるといえます。

屋根を金属屋根に葺き替えて軽量化するメリット

上でご紹介したように、屋根を軽くすることで耐震性能を高めることができる場合が多いのですが、その他にもメリットは多くなっています。

基本的に屋根を軽量化する際には「瓦屋根から金属屋根」「スレート屋根から金属屋根」というように金属屋根に葺き替えるのが一般的ですので、ここでは金属屋根に替える場合のメリットを紹介していきます。

軽量化することができるので耐震性能を高めることができる

まずはもっとも大きいメリットとしては、上にも挙げたように「耐震性能を向上させることができる」というものがあります。

金属屋根は屋根材の中でも特に軽量の素材です。建築基準法でも分類として軽い屋根に分類されています。
重さは瓦屋根の5分の1~10分の1ほどで、スレート屋根の半分ほどの重さです。

そのため特に瓦屋根からガルバリウム鋼板などの屋根材に葺き替えることで、屋根を大幅に軽量化できて、さらに建物全体にかかる負担も軽減することができます。

そして屋根が軽くなることで建物全体が軽くなり、地震発生の際の横揺れの力(地震水平力)が小さくなって揺れ幅を小さくすることにつながります。

高い断熱性、防音性、耐火性がある

金属屋根と一口にいっても様々な種類があります。
最近ではSLG鋼板のスーパーガルテクトや石付きジンカリウム鋼板のディプロマットスターといった製品がどんどん市場に出てきています。
金属そのものは高い熱伝導率を持ちますが、こうした製品には例えば断熱材が組みこまれていたり、表面の石粒が断熱や遮音の機能をもつなど多くの機能を持っています。

さらにガルバリウム鋼板は法定不燃物で製造されているために耐火構造屋根として認可もされています。

そうした特徴があるために火災が起きた時にも強い屋根材だと言えます。

このように製品によってばらつきはあるものの、葺き替えることで断熱性、防音性、耐火性という面でも大きなメリットがあると言えるでしょう。

豪雪地帯でも安心して利用できる

雪が多く降る豪雪地帯では屋根材にどういったものを使うかということは非常に重要となります。
その地域に適していない屋根を選んでしまうと雪の重さで屋根がつぶれてしまったりすることもあります。

ガルバリウム鋼板などの金属屋根は表面がメッキ加工されていることで雪が下に滑り落ちやすくなっているのです。また、施工断面が段葺きとなっていることで雪が降ったとしても段差で途切れるようになっています。

屋根材の下に断熱材を補強すれば断熱性をさらに高めることも可能となっていることと合わせても豪雪地帯でも安心して利用することができる屋根材だと言えるでしょう。

地震が起きた際の落下事故を防ぐことができる

大きな地震が起きると建物が倒壊する危険性があるのですが、建物が倒壊しなくても屋根材が落下するということもあります。

屋根材に瓦屋根を使っている場合などは瓦自体が重いために落下したときには大きな被害が出やすくなります。
直接人や物に当たれば大事故になりますし、地面に落ちると割れて破片が飛び散るということもあります。

ただ、金属屋根を使っている場合はしっかりと固定されているために落下しにくいというだけでなく、軽量であるために落下しても被害を抑えることができるというメリットがあります。

屋根の軽量化工事は自治体から補助金が出る

現在政府や地方自治体は耐震工事を進めています。

そうした関係で旧建築基準法の中で建設された住宅を耐震改修工事を行うと自治体から補助金が支給される場合があります。

耐震改修工事には大きく分けて4つの種類があります。

「建物の基礎」「接合部の補強」「壁の補強」「屋根の軽量化」の4つであり、これらの耐震改修工事を行う際には補助金が支給される工事となっています。

横浜市でも「横浜市木造住宅耐震改修補助制度」があります。詳しくは下記の公式サイトをご参照ください。
▷公式サイト:横浜市木造住宅耐震改修補助制度について 横浜市

屋根が軽ければいいというわけでもない

しかし単に屋根だけを軽くすればいいというわけでもありません。
上でご紹介したように建物の耐震は、必要な壁量など床面積や屋根の重さから計算される、「地震に耐えるために本来所持しなければならない耐力」と、その建物が実際にもっている耐力を比較して診断されます。
建物が必要耐力以上の保有耐力をもっていれば基準を満たしているということになります。

つまり耐震とは屋根だけで考えられるものではなく、屋根や開口部などのバランスなどを考慮することが重要です。

とはいえ屋根を軽くすることに意味がないわけではなく、屋根を軽量化することで必要耐力が少なくなり、地震発生の際に水平に建物が動く力を低下させることができます。

耐震基準における地震被害の違い

日本の建築基準法における耐震基準は、旧耐震基準(1981年6月以前)と新耐震基準(1981年6月以降)に分けられます。
旧耐震基準では、震度5強程度の地震に耐える設計で、大地震では倒壊の可能性がありました。一方、新耐震基準では、震度6強から7の地震でも「倒壊しない」ことを目標に耐震性能が大幅に強化されました。
1981年以前に建てられた建物は耐震診断や補強が推奨されています。

最近はこうした耐震基準を満たしているかどうかが重要となるのですが、平成28年に起きた熊本大地震ではこれが影響しました。

国土交通省の調査によると、熊本大地震において、旧耐震基準の木造建造物の倒壊率は28.2%(214棟)であり、新耐震基準を満たした木造建築物の倒壊率に比べると高くなっていました。
これは新耐震基準は旧耐震基準の建物と比較して約1.4倍の壁量が確保されていたためと考えられています。

出典:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント(国土交通省 住宅局)

耐震診断で建物の耐震力を把握

建物が地震に耐えられるのか、どのくらい耐震性があるかは、「耐震診断」を受けることではっきりと数値化して出すことができます。

耐震診断は専門業者がその建物の耐震性能を数値化して出すもので、どれくらいの必要耐力、保有耐力を持っているかがわかるものです。

それだけではなく、耐震性能を高めるためには何が必要となるのか、どういったメンテナンスや補修工事をする必要があるのかということもはっきりさせてくれます。
屋根だけではなく、例えば壁が少なく壁の耐力や少ない場合やなどは壁の耐震性を向上する必要があります。

特に現在の耐震基準よりも緩やかな旧耐震基準で建てられた家は、耐震性が劣る可能性が高いです。多くの市町村が無料で耐震診断を行っていますので、1981年以前に建てられた方はまずは耐震診断を受けられるのがおすすめです。

こうして耐震診断をすることで適切な耐震リフォームを行うことができます。

耐震リフォームを行う際の費用や注意点とポイント

ポイント

屋根を軽量化などを中心としながら行われる耐震リフォームですが、実際に行う際にはどれくらいの費用がかかるのか、どういった注意点があるのかが気になるところです。

そこでここでは耐震リフォームを行う際の注意点、費用の目安について紹介していきます。

かかる費用はさまざまな要素によって決まる

耐震リフォームにかかる費用は多くの要素によって変わってきます。

  • ・建物がある地域や立地条件
  • ・建物の大きさ、広さ
  • ・どの種類の工事を行うのか
  • ・どういった屋根材を使うのか

といった要素が関係してきます。

ただ、基本的には屋根材の葺き替えを行うことが多いため、100~200万円前後の費用はかかるものと思っておいて良いでしょう。

まとめ

地震に備えるという意味で耐震リフォームが行われることが多くなっています。
耐震リフォームの中には屋根の軽量化も含まれます。

基本的に瓦屋根など重い屋根は耐震性が低くなるため、軽量な屋根に葺き替えることで耐震性が向上します。
しかし耐震性は屋根だけで決まるわけではないため、お住まいに合わせた耐震リフォームを考慮されることも重要です。

耐震化に対する各自治体の補助金や、耐震診断もあるため、そうした制度を活用されて耐震化を図ることもおすすめです。

山田工芸では瓦屋根から軽量化を目的とした軽量な屋根材への葺き替えも対応しております。

横浜市で屋根の軽量化による耐震リフォームや葺き替えをご検討の方は山田工芸までご相談ください。

【瓦屋根から葺き替えをして軽量化した事例】


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