雨漏り修理は自分できる?
2023/04/15
※基本的には雨漏り修理を自分で行うのはやめましょう。特に屋根からの雨漏り修理は非常に危険です。
「雨漏り」とは、雨水などが建物の内部に浸入する現象です。屋根や外壁などから入り込む場合が多く、天井から水滴が落ちてくる、部屋の壁や床などに水が染み出すといったトラブルが起こります。一度雨漏りが生じると、雨が降るたびに室内が濡れるだけでなく、柱や天井部分も湿気を帯び、腐敗しやすくなります。そのため、家全体の強度が弱くなり、またカビやダニなどの繁殖を促すので、住む人の健康被害も懸念されます。
雨漏りを、そのまま放置しておくのはとても危険です。被害を早急に、多少なりとも食い止めたいのであれば、できる範囲で自ら応急処置を行うという方法があります。近年はホームセンターで、雨漏り対策用の材料や道具が数多く販売されているため、自己補修する人も少なくないようです。ただ、屋根などは高所作業になるので、安全対策を施し十分注意して行う必要があります。
雨漏りの発生しやすい場所と原因
雨漏りは、建物のあらゆるところに生じます。建物の種類や設備、気候風土などによって異なりますが、一般的によく見られる場所は「屋根」「雨どい」「窓」「外壁」「バルコニー」「ベランダ」などです。雨漏りが起こる原因には様ざまなケースが考えられ、おおまかには「建物の老朽化や劣化」「建物の破損」「自然災害(台風・地震など)」「設計上の問題」「施工不良」などがあげられます。
・建物の老朽化や劣化:建物の部位にはそれぞれ耐用年数があり、時間が経てば、ヒビや風化といった老朽化、経年劣化が起こり、雨漏りにつながる
・建物の破損:上記と同じく、経年劣化や物理的な衝撃による破損が、水の漏れる原因になる
・自然災害:台風・地震といった自然災害によって、建物にヒビや破損が生じる
・設計上の問題:不適切な設計や計画、設計者や建築家の技術不足、施工者とのコミュニケーション不足などにより、完成後の建物に不備が生じることで発生
・施工不良:建設・修繕・改修などの工事が不適切な方法で行われ、品質が悪くなる、機能しないといった不具合により、雨漏りが生じる
なお、建物の部位によっても、雨漏りが生じる度合い、原因は少しずつ異なります。
・屋根:建物の最上部にあるので、雨漏りが多発する場所。屋根材の劣化やひび割れ、雨樋の詰まりなどが起こりやすい。
・雨どい:屋根から落ちた雨水を集め、建物外へ排水するための部材。ここに落ち葉やごみなどが詰まり、破損が発生すると雨漏りの原因となる
・窓:窓枠やサッシの隙間から雨水が侵入。特に老朽化した建物では、シーリング材が劣化し、雨漏りを引き起こす
・外壁:外壁の亀裂や塗装の劣化、破損、コーキング材の劣化により、雨漏りが生じることがある。中でも窓やドア周り、外壁の隅などがウィークポイントとなる
・ベランダ:防水処理が不十分な場合、雨水がベランダ内部に浸入する
・バルコニー:バルコニーの排水口やコーキング部分の劣化、床や手すりの隙間から雨水が侵入、また防水工事が不十分である場合に起きやすい
なお、「雨漏り」と混同されやすい「漏水」は、同じ水漏れではありますが原因は違います。漏水とは「配管の劣化」「配管接合部に隙間がある」「排水設備が機能していない」など、水回り設備にトラブルが発生し、水漏れが起こる状態のことをいいます。雨水など外部から水が浸入する雨漏りに対し、漏水は内部から水が漏れるケースが多くなります。
雨漏りによって起こり得るトラブル
雨漏りをそのまま放置しておくと、建物のさらなる劣化や住む人の生活に影響を与える危険性があります。考えられるデメリットをあげてみます。
・建物の損傷:雨漏りをそのままにしておくと、水がしみ込むことで建物の劣化が進んでいきます。壁や床などの腐食も起こり、建物全体に深刻なダメージを与えることがあります。
・屋根の崩落:屋根の構造部分に水がしみ込むと、屋根の崩落が起こる可能性が生じ、特に強風や大雨などの自然災害が発生した場合には危険度が高まります。
・室内の環境悪化:雨漏りにより室内の湿度が上昇し、カビや菌といった微生物の繁殖、カビやダニなどの発生など、室内環境が悪化することがあります。
・室内の安全性低下:床や階段が滑りやすくなり、転倒や怪我の原因となる可能性が生じます。そのため、子供や高齢者がいる家では注意が必要です。
・感電:雨漏りにより、水が電気配線や電気設備に浸入すると、人が感電する危険性が生じます。
・費用の増大:雨漏りを放置し続けると、修理箇所が増加、建物全体の損傷も進み、修理費用が高額になることがあります。
雨漏りは、このようなトラブルを引き起こします。大きな事故につながる可能性もありますから、早めの修理が必要です。
早期補修が必要な雨漏りを自分で修理するには?
どこかで雨漏りが起きると、「天井や壁に水シミが現れる」「天井から水滴が垂れる」といった兆候が出ます。早急に修理したいところですが、雨が降ると部屋の中に水が流れ込むなどのひどい状況なら、雨漏りを多少でも食い止めるために、自分で応急処置を行う必要があるでしょう。
自分で修理をする場合、まず、屋根や壁、窓などに、水によるシミをはじめ、亀裂や隙間が生じていないかを確認。雨漏りしているところを特定します。また、雨どいや壁面といった周辺も見ておくといいでしょう。目で確認できないような時は、湿気やカビ、壁紙の変色などの徴候を探すようにします。
原因となっている場所を突き止めたら、水を拭き取り、乾燥させ、雨漏りの原因に応じて修理を施します。屋根や外壁の穴や亀裂などが原因の時は、一般的に「シーリング材」や「コーキング材」を使って修理することができます。これらはどちらも、建物の接続部分の隙間や継ぎ目、外壁や窓枠などの隙間を充填するもので、ホームセンターなど購入可能。雨漏りを生じる部分に施して修復を行います。
なお、雨漏りが発生している場所が特定できない時は、ブルーシートや防水シートによる応急処置が有効です。これは屋根の広範囲にブルーシート、または防水シートを広い範囲で被せ、土のうで固定する方法で、発生場所が特定できている時にも利用できます。
雨漏り修理で気をつけたいのが作業中の事故です。特に屋根の場合、はしごを使う、高所に登ることになるため、安全には十分注意しましょう。また、雨漏りは雨の日に発生しやすいのですが、そのような時に修理を行うのは、視界も悪く滑りやすくなります。転落の可能性も多く大変危険ですから、自分で雨漏り修理をする場合は、雨があがってから行うようにしてください。修理後は、屋根や外壁をはじめとする建物の定期的な点検やメンテナンス、排水溝の清掃などが、再発防止の予防策になります。
ただ、自分で行う雨漏り修理は一時的なものです。特に屋根の修理は、高所で行うため危険が伴います。また雨漏りが止まったとしても、台風や大雨が来ると、修正個所が再度破損するケースも少なくありません。ですから、自分での修理はあくまで応急処置として、経験と技術力のある専門業者に依頼することがおすすめだといえます。