横浜の気候の特徴と屋根の関連性について
2023/04/13
横浜市は、人口約377万人を超える、神奈川県の中心都市です。江戸時代、住民は主に漁業を営んでいましたが、1859年の開港をきっかけに、海外との玄関口として発展。国内外を問わず、多くの人、あらゆる文化や産業・技術、工場や企業が集まる街となり、現在は日本有数の国際的な工業・港湾都市として知られています。
また、歴史的な建築物をはじめ、「横浜中華街」や「横浜赤レンガ倉庫」といった、グルメ、ショッピングなどのアクティビティ、「山下公園」ほか、多くの有名施設やスポットが点在するなど、訪れる人々を魅了する、観光面も充実しているエリアです。
さらに大都市でありながら緑が豊富で、「山下公園」「三溪園」「元町公園」ほか、数多の公園が設けられているのも大きな特長。市民の憩いの場となっています。このようなことから、横浜市は「住みたい街」としても人気が高く、たとえば、「SUUMO住みたい街ランキング2021 関東版」において1位を獲得。毎年上位にランキングされており、戸建て、分譲マンション、賃貸にかかわらず、転入者が後を絶たないといいます。
ショッピング、交通アクセスほか、様ざまな面で住みやすい横浜ですが、海岸線に近い地域においては、地形や気候による「塩害」に注意する必要があります。横浜に居住する人も、引っ越しを考えている人も、ぜひ知っておくことをおすすめします。
横浜の地勢や気候の特徴
横浜のある「神奈川県」は、西に「神奈川の屋根」といわれている、箱根と丹沢の山地があり、中央は平野と台地、東と南が平野と海に面しています。太平洋の黒潮の影響を受けているため、気候は温暖で雨量の多い「太平洋側気候」となっています。太平洋側気候（太平洋岸式気候ともいう）とは、日本の太平洋側に位置する地域の気候で、夏は南東から吹く季節風により雨が多く、比較的暑く、最高気温が30℃を超えることもあります。また梅雨には長雨が続き、8月～9月は台風に見舞われやすい地域です。冬は北西からの季節風によって、山越しに冷たく乾いた風（空っ風）が吹き、晴天の日が多くなります。それでも比較的温暖です、雪はあまり降りませんが、朝晩は冷え込むこともあります。
横浜は東京湾に面した、海からの風が吹き込みやすいエリアで、春から秋にかけては穏やか、夏は高温多湿、冬は乾燥し、季節の変化が感じられる気候となっています。
海の影響を受けやすい地域に起こり得る屋根・建物のトラブル
貨物船や客船の発着地、クルーズ客船の寄港地として人気の「横浜港」、海水浴場や潮干狩りが楽しめる「海の公園」、またマリンスポーツのスポットなど、海のアクティビティが充実しているのは横浜の大きな魅力です。
しかし、海の近い横浜に住む、建物を作る場合、注意しておかなくてはならないことがいくつかあります。中でも危険なものといえば、やはり台風でしょう。海からの強烈な風、暴風雨、高波などをダイレクトに受けやすいため、台風接近の際は、飛来物による窓ガラスの破損、庭木や塀などの倒壊などに備え、雨戸やシャッターをつける、各部分の補強をするほか、相応の防災対策が必要になります。また、瓦や屋根材が飛散し、屋根が破損することもあるため、台風が過ぎた後は点検が不可欠です。
もうひとつ、海の近くに居を構えた時、日常的に気をつけるべきことがあります。それは「塩害」です。塩害とは、風や波によって運ばれた海水や湖水の塩分により、塩化物や硫酸塩などの化合物が形成されることで、建物の外壁や屋根、また農地や森林、土壌ほか、様ざまな場所に被害を引き起こす現象をいいます。近年では、海水が台風に巻き上げられ、電線などに付着したことが原因で停電となったケースもあったそうです。塩害トラブルでよくあるのが、金属素材の錆、塗装の剥離などによって生じる建物の劣化です。具体的な症状には、次のようなものがあげられます。
金属部分の劣化
塩分が水分と反応することで金属の表面が腐食し、錆びや白化が生じます。特にトタンややアルミ、鉄や鋼材などは塩害に弱く、劣化が進みやすくなります。
コンクリートのひび割れ
コンクリートは金属ではありませんが、中に鉄筋が入っています。長く風にさらされていると、塩分が内部へと浸透。次第に鉄筋が錆び、膨張するため、コンクリートにひび割れや剥離が生じます。
塗料の剥離や劣化
建物の塗装の耐用年数が2～5年ほど短縮され、何度も塗り直しが必要になることがあります。
外観の劣化
建物の外観の汚れが目立つ、腐食によって、デザインや装飾性が損なわれるケースが考えられます。
耐久性の低下
建物の表面が腐食すると、外壁や屋根、鉄筋などの耐久性が低下し、建物の寿命が短くなることがあります。また、塩害によって腐食した部分に水が浸入すると、劣化が進んでしまうため、建物の構造に悪影響を与えることがあります。
室内の湿気やカビの発生
外壁や屋根の劣化により、家屋に雨水や湿気が侵入。これによって、室内の湿度があがり、カビなどの発生が懸念されます。
中でも、日々風雨にさらされている屋根や外壁は、塩害の被害を受けやすく、普段から気をつけなくてはなりません。特に家屋の防水の要である屋根には、下記のような影響が考えられます。
屋根材の腐食
屋根材が腐食すると、屋根の防水性能が低下します
屋根材の剥がれや浮き
塩害により、屋根材の表面に亀裂や剥がれが生じると、そこから雨水が侵入し、その下にある防水シートにも影響が及びます。また、雨漏りの原因にもなります。
屋根材の変色
屋根材の腐食により、屋根材が汚れ、変色したりすることがあります。
家屋の性能低下
屋根から雨などが侵入すると、断熱材などが劣化し、建物の各性能が低下。これによって、エネルギー効率の低下、冬期の結露やカビの発生などが起こる可能性が考えられます。
屋根の塩害をそのまま放置しておくと、建物の強度や耐久性に深刻なダメージを与えます。もし、錆や変色などの症状が出ているなら、早急に屋根の補修や交換を行いましょう。また、外からは見えにくい部分に塩害が発生している可能性も考え、普段から次のようなメンテナンスを心がけることが大切です。
定期的な洗浄
屋根に付着した塩分を定期的に洗い流すことで、塩害による腐食を防ぐことができます。
塩害に強い屋根材の選定
新築やリフォームの際には、耐塩性のある屋根材を選ぶことが望ましいといえます。
塩害に強い屋根材のスーパーガルテクト
塗料の塗り替え
海沿いの地域は、内陸部よりも建物の塗装の耐久年数が短くなります。そのため、屋根のこまめな塗り替えがおすすめです。その際、耐塩性や耐候性のある塗料を使用することで、より塩害を防ぐことが可能になります。
このような対策を行うことで、屋根への塩害を食い止め、屋根の寿命を延ばすことができます。なお、塩害は海からの影響を受けやすい場所で起こりやすいとされていますが、日本は四方を海に囲われた島国のため、内陸部でも少なからず塩害の影響を受けています。風向きや気象条件によって異なりますが、一般的には海から5km圏内なら塩害が発生しても不思議ではありません。また、「高層階に住んでいる」「家が高台にある」場合は、一般住宅や低層地よりも塩害を受ける可能性が高くなります。海の見えるエリアに住まれている方は、特に注意してください。
